
FUJIFILM X-E1とSONY NEX-5NとRICOH GXR MOUNT A12、
APS-Cミラーレス機が手元に3台あります、
3台ともシネレンズやライカMやLマウントのレンズ、今どき風に言えばオールドレンズを使う為に購入したものですが、この3台のミラーレス機とオールドレンズの相性が以前からずっと気になっていました、
もっと具体的に言えばイメージセンサーの結像特性の事です、
自分なりなにレンズの評価を下すにあたり、センサーの結像性能不足が原因で、そもそもそのレンズ本来の描写が正しく反映されていなかったとしたら、正しい評価が出来ないことは言うまでもないからです、
特にレンジファインダー用の超広角レンズは後玉が後方に大きく張り出したものが多く、そのようなレンズの場合、テレセントリック性が保たれない為に、周辺の像か甘くなっているとしたら、いくら周辺まで解像力のある高性能な名玉でも『高性能と噂の割には周辺が流れるユルいレンズなんだなぁ』と勘違いしてしまいますからね、
てなわけで、3台のミラーレス機がデキルダケ同じ条件になるようにセットして、撮り比べてみました、
テストに使ったレンズはこの三本、
Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC(Mマウント)Carl Zeiss BIOGON 21mm F4.5(Lマウント改造品)Taylor Hobson COOKE SPEED PANCHRO 50mm F2(ARRIマウント)
標準レンズ代表としてノクトン、広角で後玉の飛び出したレンズ代表としてビオゴン、中望遠でシネレンズ代表としてスピードパンクロを選択しましたが、3台のミラーレス機に装着できて無限も出る事が条件だったので、ルサール20/5.6やCマウントのマクロスイター50/1.4などの候補は見送りました、
(上記の標準、広角、中望遠という表記はAPS-Cに装着して35mm換算として)
テストは、それぞれのレンズで開放から一絞りづつシャッターを切りながらF8までカラーで撮りました、F5.6だけモノクロも撮っておきました、
カラーモードはスタンダード(X-E1はPROVIA)、
テスト時の天気は晴れだったので、ホワイトバランスはオートではなく晴れに統一、
感度ですが、X-E1とGXRのベース感度は200、NEX-5のベース感度は100ですが、ここはネックスにちよっと我慢してもらって200で統一しました、
3台のカメラを使って同一条件で撮るなら、本来はクイックシュー付きのしっかりした三脚を使うべきなのでしょうけど、普段は全て手持ち撮影、どうしてもと言う時もミニ三脚で済ませてしまうボクには、とてもそんなもの持ち歩く気がしないし、第一持ってないので、使い慣れたマンフロットの卓上三脚に活躍せてもらいました、
NOKTON Classicは、F1.4,2,2.8,4,5.6,5.6(BW),8の7枚
BIOGONは、F4.5,5.6,5.6(BW),8の4枚
SPEED PANCHROは、F2,2.8,4,5.6,5.6(BW),8の6枚
計17枚
X-E1とNEX-5NとGXR MOUNT A12で17枚づつ撮るので合計51枚、
51枚の画像は、JPEG撮って出しのまま全てYahooボックスに保存してあるので、リサイズ無しのオリジナルサイズ画像もご覧いただけます、(リンク先の画像の右下にある『オリジナルサイズ』の文字をクリックで開きます)
では撮影した画像です、
Voigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SC<F1.4>
X-E1 NEX GXRシャッター速度が足りなくてどれも露出オーバーです、あれっ、NEXはピント外してしまったのかな?うーんわかんない、GXRは何故か飛び抜けて露出オーバーですが、その所為もあるのかパープルフリンジが目立ちます、
<F2>
X-E1 NEX GXRNEXは少し前ピンなのかな?でも前の木の幹とかX-E1やGXRの方がちゃんと写ってますね、ブレでも無さそうですけど、、、あと左下の店内の点光源の形状もNEXだけ違いますね、GXRはまだパープルフリンジがありますが、画像サイズが他より小さいのを考慮しても周辺の解像に関しては優秀なようです、
<F2.8>
X-E1 NEX GXR中心部の解像感はNEXが一番良くX-E1もかなり良くGXRは少し甘く感じますが、周辺を見るとGXRが一番良くてX-E1は少し甘くNEXは多少像が流れる印象を受けます、
<F4>
X-E1 NEX GXR中心部も周辺部もF2.8と同じ印象ですが、NEXの周辺も良くなってきましたが他より流れる感じです、NEXの中心部が飛び抜けてキリっとしているのはJPEG生成時のシャープネス処理なのでしょうか?というかGXRは中心部より少し周辺の方が解像感があるのが不思議です、
<F5.6>
X-E1 NEX GXRどれもF4と同じ傾向で、周辺がさらに少し引き締った感じだと思います、
<F5.6>(BW)
X-E1 NEX GXRモノクロだとはっきりわかりますが、X-E1やGXRに比べるとNEXは非常にコントラストが高い処理がされているようです、カラーでもJPEG生成時に同じ様な処理がなされているのかもしれないですね、
<F8>
X-E1 NEX GXRF8まで絞ると3機種とも画面全体しっかり描写している印象だけど、まだ四隅で僅かに差が出ますね、細部まで一番しっかり描写されているのはGXR、僅かな差ですけどその次がX-E1、そして少し甘いNEXという感じだと思います、中心部は一番くっきりしているのがNEXですが、これはシャープネスとコントラスト処理によるところじゃないかと思います、
<ノクトンクラシック35mm/1.4の画像比較を終えて>
そうか!開放付近でNEXのピントが中心部でもとても甘く見えたのはローパスフィルターの影響によるハレーションですね、画像真ん中辺のビルの室内の照明のまわりにハレーションがはっきり出ていますがローパスレスのX-E1とGXRには出ていません、NEXの場合F1.4の開放からF2位までは画面全体にこの現象が起きていてピントが甘く見えたのだと推測します、
Carl Zeiss BIOGON 21mm F4.5<F4.5>
X-E1 NEX GXRこれははっきり差が出ますね、GXRは中心より周辺描写が僅かに甘くなっているのがわかる程度で、これはレンズの性能なのかもしれませんが、NEXは周辺がさらに甘くパープルフリンジが出ています、そしてX-E1にいたっては周辺の像が甘いというか結像していないですね、周辺ボヤボヤです、
『Mマウント』専用設計のGXRは流石ですね、GXRのカタログにはMOUNT A12の作例にスーパーアンギュロンで撮った写真を載せていますが伊達じゃないですね、MOUNT A12開発陣の心意気が感じられます!
中心部はどれもしっかり解像しています、
<F5.6>
X-E1 NEX GXR半絞り絞っただけでNEXは周辺が少し引き締りましたがX-E1はボヤボヤのままです、この勝負はGXRが圧勝という感じかな?
<F5.6>(BW)
X-E1 NEX GXRカラーだとNEXの中心部の解像力が一番良く見えるような感じですが、黒白だと3台とも解像力は同程度か、むしろX-E1とGXRの方が解像力があるように見えます、
<F8>
X-E1 NEX GXRF8まで絞るとX-E1の周辺も結構良くなったけどまだまだボヤっとしてます、NEXの周辺はGXRと比べても殆ど見劣りしないくらいに良くなりました、
<ビオゴン21mm/4.5の画像比較を終えて>
X-E1は、後玉がセンサーの近くまで出っ張っているタイプのレンズだと周辺は解像しないようで、ルサールを装着した時も同じように周辺ボヤボヤでした、
以前
NEX-5+このビオゴンで撮ったときに結構気になった四隅のマゼンタかぶりはNEX-5Nでは感じられませんでした、
GXRは優秀ですね、
ルサールとの相性も本当に良いなと感じましたし、
Taylor Hobson COOKE SPEED PANCHRO 50mm F2<F2>
X-E1 NEX GXRこの対決は一目でわかる顕著な差がないので比較が難しいですね、X-E1は他の2台よりも周辺に行く程少しほわーっとした感じになっているのがわかるけど、しっかり解像はしているように見えます、
<F2.8>
X-E1 NEX GXRGXRが画面全面が均一に解像していてくっきり写っています、
NEXは中心部と周辺で僅かに違いが感じられ中心くっきり周辺やんわりです、
X-E1は全体に軟らかい印象なのですが、もしかしたらこの写りが一番レンズ本来の描写の持ち味を描き出しているのではないかと思うような繊細で優雅な描写のような気もします、
中央左の木の葉の描写を見るとそれぞれの特徴が良くわかると思います、GXRは正確にきっちりそして自然な描写をしていて、X-E1はきちんと解像はしているけど軟らかく何か空気感のようなものまで伝わる描写で、NEXは他2台と比べると少し雑な印象を感じるのですが、人それぞれ好みもあると思います、
<F4>
X-E1 NEX GXR建物を見ると、もう等倍で見ても見分けがつかない位どれもしっかり描写していますが、木の葉の描写には違いが感じられます、
<F5.6>
X-E1 NEX GXR3枚の写真の同じ部分のディテールを追っていくとNEXよりGXRとX-E1の方が解像力が高いように見えます、これはやっぱりローパスフィルターの有無の差なのかな?
GXRとX-E1では画像サイズが大きいX-E1の方が実質的な解像力はある事になりますが等倍の解像感はほぼ同じ程度だと思います、
<F5.6>(BW)
X-E1 NEX GXR3機種とも四隅までしっかり解像していて甲乙付け難い描写です、
NEXは少しコントラスト高めのチューニングで黒が引き締っているので撮って出しでも見映えのする画になるという感じですかね、
<F8>
X-E1 NEX GXRF8まで絞っても今までの傾向のままですが、一つ気付いたのはX-E1はノイズっぽさが全くといっていい位無いですね、NEXとGXRは多少ノイズっぽく感じる部分があります、ISO200でもノイズリダクションが効いているのかは不明ですが、じっくり見比べると違いがわかります、
GXRが一番鮮明な画像に見えますが、ずっと見比べているとX-E1と互角なようにも見えてきます、NEXは解像感で少し見劣りしますが、等倍での比較で微かにわかる程度です、
<スピードパンクロ50mm/2の画像比較を終えて>
他の二本のレンズでの比較ほど大きな差を感じない分、より仔細に見比べる事になり、結果それまで見えていなかったカメラ自体の解像力やノイズ感などの違いに気付く事ができました、
しかしそれは言い換えれば、このスピードパンクロ50mm F2を装着した時のX-E1とNEXとGXRの描写の差は微々たるもの言うか、ほとんど差が無かったとも言えます、
<おわりに>
たった3種類のレンズで、しかも詰めのあまいセッティングでの比較なのでデータ不足も甚だしいのですが、ボクとしては、なんとなく釈然としないまま闇雲に使い分けていたこのAPS-Cミラーレス3機種の特性が、ある程度明らかになり冷静に向き合えるようになった気がします、
それは例えば、X-E1にビオゴン21mmのような後玉がセンサーに接近した超広角レンズを装着して、周辺の像があまくなったとしても、「メーカー純正Mマウントアダプターまで出しているのにダメだなぁ」とは思わずに、周辺までしっかり結像しないのは承知の上でMマウントアダプターを発売したフジの柔軟さを評価したくなるような感じです、
同じ条件で撮った1600万画素や1200万画素の写真をMacbookやMacbook proの13インチモニターで等倍まで拡大して一部分だけの画像を並べて、まさに重箱の隅をつつくように見比べる作業自体、本来の写真鑑賞とは全く別な行為だと思いますが、実際に今回の比較をしてみると、新たな発見(自分にとってはですけど)がいくつもあり、突然閃く瞬間とかもあって、内容は兎も角、やってる本人にとっては想像していたより面白い企画でした、